着付け教室の選び方

着付け教室探しのコツ

安心して通える着付け教室の選び方とは?事前に知っておきたい10のポイントを解説

更新日:

これだけ読めばOK!着付け教室の選び方

成人式や結婚式、卒業式や七五三など、着物を着る機会は意外に多いものです。

一方、自分で着物を着られないという方が多く、最近では「着付け教室」に通う方も増えています。

なぜ着付け教室の選び方が重要なのか?

不要な着物を買わされないように注意

国民生活センターでは「着付け教室で高額な着物を買わされた」といった事例が紹介されています。

着物は高級品=被害が高額になりやすい

着付け教室でのトラブルの場合、他の習い事と比較して金銭的な被害が大きくなりやすいのが特徴です。

例えば、ヨガ教室や料理教室の場合は、商品の購入を勧められたとしても数十万円や数百万円といった金額になることは考えにくいですが、着付け教室の場合は着物や帯など高額な商品を勧められると、あっという間に大きな金額になってしまいます。

安易な着付け教室選びがトラブルを招く

着付け教室によっては無料で学べるところもあります。しかし、「タダならばいいか」と安易な気持ちで着付け教室に通ってしまうことは危険です。

トラブルを回避するためには、しっかりとした下調べをもとに自分に合った着付け教室を選ぶことが大切です。

着付け教室についての基礎知識

着付け教室ってどんなところ?

着付け教室とは、着物の着方や基本的なルール・作法・TPOなどを教えてくれる教室です。着付け教室ごとに料金やレッスンの内容に様々な特徴や違いがあります。

・受講料が無料か有料か
・資格やお免状を取得できるか
・グループレッスンか個別指導か
・自装(自分で着物を着る)か他装(人に着せるか)か など

まず、ひとりで綺麗に着物が着られるようになることが着付け教室に通う最初の目的になりますが、おけいこを続けていくことによって

・着物や帯の知識を深め、自分でコーディネートができる
・結婚式などの行事でTPOをわきまえた着こなしができる
・卒業式や成人式などで子供や孫に着物を着せてあげられる

といったことができるようになる着付け教室もあります。

また、資格やお免状を取得して、卒業式や成人式などで人に着物を着せる「着付け師」として働いたり、人に着付けを教える「着付け講師」になったりすることができる着付け教室もあります。

着付け教室の種類とメリット・デメリット

着付け教室を料金別に分類すると大きく3つのタイプに分けられます。

無料の着付け教室
有料の着付け教室
ワンコイン(500円)の着付け教室

それぞれに異なる特徴がありますので、ひとつずつご紹介いたします。

無料の着付け教室

受講料が不要で無料で学べる着付け教室です。受講回数は5~6回程度と回数は少なめです。人数は5~6名程度のグループレッスン形式で進められます。

なぜ無料で受講できるのか?

着物や帯の生産者、問屋などの販売業者が着付け教室へ仲介手数料を支払い、着付け教室の運営費用を負担することによって、無料で受講することが可能となっています。

無料の着付け教室に通うメリット

入会金も受講料も不要のため、無料で着付けを学ぶことができます。ただし、懇親会や販売会の際の茶菓子代や食事代は実費での支払いが必要となります。

できるだけ安く着付けを習いたい方にとってはメリットがあります。

無料の着付け教室に通うデメリット

着物の生産者や販売業者が着付け教室の運営費用を負担しているため、無料で着付けを教えてもらう代わりに、販売会に参加する必要があります。

授業カリキュラムの中に販売会が組み込まれていますので、受講者は必ず販売会に参加しなければなりません。

販売会では生産者や問屋など多くの販売員から購入を勧められますので、そのような売り込みが苦手な方にとってはデメリットです。

また、買う気がない場合でも販売会に参加しなければならないため、忙しい方や着付けの勉強以外のことに時間を取られたくない方にとっては拘束時間が負担となります。

有料の着付け教室

講師に受講料を支払って着付けを教わる形式の着付け教室です。茶道教室や料理教室などと同様、習い事としては一般的な形式です。

有料の着付け教室に通うメリット

複数の生徒で同時に受講するグループレッスン方式や講師と生徒が1対1で学べる個別指導方式など様々な授業の形式があります。

個別指導形式の着付け教室では、生徒の習熟度に合わせて指導が受けられるので、全くの初心者の方やグループレッスンでの授業についていくのが不安な方は個別指導方式の教室を選ぶと安心です。

有料の着付け教室に通うデメリット

月謝やチケット制のような形式で受講料を支払う必要がありますので、無料の着付け教室と比較すると費用は割高となります。

習い事にあまりお金をかけたくないとお考えの方にとってはデメリットとなります。

ワンコイン(500円)の着付け教室

1回ごとに500円の受講料を支払う形式の着付け教室です。有料の着付け教室と同じ種類の着付け教室に見えますが、受講料が極端に安いため、有料の着付け教室とは運営方法が異なります。

500円の受講料だけは教室の運営は成り立たないため、着物販売を主な収益源としている点ではどちらかというと無料の着付け教室と似ています。

ワンコイン(500円)の着付け教室に通うメリット

受講料が格安な上、肌着や足袋などの着付け小物が無料でもらえる着付け教室もありますので、必要な金額が少ない点がメリットです。

入会金が不要な教室や複数名での入会で500円分の商品券がもらえる教室もあります。

ワンコイン(500円)の着付け教室に通うデメリット

500円で着付けを教えてもらう代わりに、販売会に参加しなければなりません。授業カリキュラムの中に販売会が組み込まれている教室もあります。

教室によって多少の違いはありますが、基本的には無料の着付け教室と同じように、買う気がなくても販売会へ参加しなければならないというデメリットがあります。

着付け教室を選ぶ際に最も大切なこと

料金別に着付け教室の特徴を比較すると、着付け教室を選ぶにあたって2つの選択肢があることが分かります。

メリットデメリット
料金重視無料または500円販売会への参加が必要
安心重視販売会への参加は不要受講料が必要

なるべく安く着付けを学びたい方は「料金重視」、販売会へ参加するのが不安な方は「安心重視」ということになります。

安さを優先するか?安心を優先するか?

着付け教室のメリットとデメリットを比較した上で、次に思い浮かぶのはこのような疑問ではないでしょうか?

「販売会に行っても買わなければよいのだから、無料の着付け教室に通えばいいのではないか?」

しかし、現実はそれほど甘くはありません。

簡単に断れないような仕組み

無料の着付け教室の場合、生産者や販売業者は仲介手数料として着付け教室の運営費を負担しています。

そのため、何としても販売会で着物を売らなければ経営が成り立ちません。買う気のない人にも着物を買ってもらうために、様々な方法で接客を行います。

・複数のスタッフで取り囲むようにして販売
・反物や帯を試着させて、その場から離れられないように接客
・着物と帯のセットでの大幅値引きなど、お買い得感を演出
・ローンなら月に数千円の支払いで買えると説得  など

このように、初めから買う気のない人がやってくることを想定して準備をしているわけですから、着物の初心者では相手になりません。

生産者から直接買えるから安いと言われても、値引きされた価格が本当にお買い得かどうかの判断も難しいのではないでしょうか?(仲介手数料の分、相場よりも値段が高い可能性もあります。)

500円のワンコイン着付け教室の場合も、わずか500円の受講料しか受け取っていないことを考えれば、同じようなことが起こったとしても不思議ではありません。

悪質な場合にはクーリングオフが可能

なお、販売会場で販売員に取り囲まれてしつこく勧誘されて、消費者が自由に商品を選ぶことができないような条件下で契約した場合には、クーリング・オフが適用されることになりますので、法律に基づき契約の取り消しが可能です。

クーリング・オフとは?

クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。

独立行政法人国民生活センターより引用

受講料を払えば安心とも限らない

それでは、受講料を支払っていれば販売会に参加しなくてすむかというと、必ずしもそうではありません。

講師にきちんと受講料を支払っていても、授業中に着物の購入を勧められたり、販売会へ参加しなければならない着付け教室もあります。

つまり、受講料の有無だけでは販売会へ参加しなくてよい着付け教室かどうかは分からないため、安心して通える着付け教室を見つけるためには別の基準も必要になります。

では、一体どのような基準で着付け教室を選べばよいのでしょうか?

着付け教室選びの際に確認しておきたい10のポイント

着付け教室のテレビCMや雑誌広告では素敵な着物姿の女優が起用され、着物の素晴らしさを分かりやすく伝えてくれています。

しかし、女優の魅力度と着付け教室の魅力度は必ずしも一致するわけではありません。着付け教室を選ぶ際には、広告だけではなく様々な視点からの判断が必要になります。

また、安心して着付け教室に通うためには、販売会以外にも気をつけるべき点がいくつかあります。

そこで、着物の知識のない方や初めて着付け教室に通う方のために、着付け教室を選ぶ際の注意点を一覧としてまとめたのが、以下のチェックリストです。

ポイント

1.カリキュラムの中に販売会が含まれているか
2.必ず販売会へ参加しなければならないか
3.必要な料金がホームページに公開されているか
4.受講期間やコースの内容が書かれているか
5.お免状や資格の取得ができるか
6.特殊な着付け小物を使用するか
7.練習用の着物や帯を借りられるか
8.グループレッスンか個別指導か
9.授業の振り替えができるか
10.授業の見学や体験ができるか

このチェックリストを見ながら着付け教室のホームページを確認し、不明な点はメールや電話で確認することで、着付け教室に関するトラブルの多くは未然に防ぐことができます。

1.カリキュラムの中に販売会が含まれているか

これまでご説明してきた通り、授業カリキュラムの中に販売会がある場合、その着付け教室では買う気がない人も販売会に参加しなければなりません。

そのため、不要な接客にあったり、高価な着物を買わされたりといったトラブルに巻き込まれる可能性があります。

色留袖
授業の中に販売会が組み込まれている着付け教室

着付け教室のカリキュラムに参加必須の「販売会」がある!? 最近の着付け教室は5~10回程度の短期間のコースが主流になりつつあります。 短期間で学べることは消費者にとって決して悪いことではありませんが、 ...

続きを見る

2.必ず販売会へ参加しなければならないか

授業カリキュラムの中に販売会がない着付け教室でも、販売会に参加するよう何度も勧誘される場合があります。

しつこい勧誘にあわないよう「販売会の参加は任意」「販売会への参加は強制ではない」ことが書かれている着付け教室を選ぶと安心です。

黒留袖
セミナーや展示会・販売会への参加を強制される

授業の一環としてセミナーと称した販売会がある着付け教室も 無料の着付け教室に限らず、着付け教室の中には、授業の中にコーディネート体験やセミナーと称する販売会や展示会への参加が組み込まれているところもあ ...

続きを見る

3.必要な料金がホームページに公開されているか

受講料についてはこれまで詳しく説明してきましたが、着付け教室にかかる費用は受講料だけとは限りません。

入学後に思いもよらない出費を迫られることのないように、受講料以外にどのような費用が必要か事前に確認しておくと安心です。

訪問着
高額なお免状代を請求されたり、知らされていない費用がかかる

「事前にいくらお金がかかるのか分からない」という不安 着付けを習ってみたくても、着付け教室に通うのをためらうのは「事前にいくらお金がかかるのかわからない」からではないでしょうか。 必要のない着付け小物 ...

続きを見る

4.受講期間やコースの内容が書かれているか

着付けの習得にかかる時間には多少の個人差はありますが、どれくらいの期間でどのようなことが学べるかという見通しは着付け教室に通う前に知っておきたい情報です。

コースの内容がホームページに書かれていれば、しっかりとしたカリキュラムがあるかどうかが一目で判断できます。

また、受講期間が明示されていることによって、期間内に習得しようという意識が生まれ上達も早くなります。

訪問着
特殊な小物を買わされ、知りたい着方を教わるまでに1年かかる

月謝や進級費などを聞いても教えてもらえず、高額になる費用に不安も ネットがそれほど普及していない時代でしたので、駅で配っていたハガキの入会料金を見て入学を決めました。 自分の着付け小物があるのに、お揃 ...

続きを見る

5.お免状や資格の取得ができるか

自分で着物が着られるようになれれば十分だと思っていた方も、おけいこを続けていくうちに、お免状や資格を取得してみたいと思うことがあります。

資格の取得が可能な教室を選んでおけば、資格が欲しいと思ったときにも、途中で着付け教室を変える必要がなく継続して通うことができます。

6.特殊な着付け小物を使用するか

着付けの方法には、昔ながらの手結びでの着方もあれば、着付け教室が独自に開発した着付け小物を使う着方もあります。

どちらのやり方にも一長一短がありますが、独自の着付け小物の使用を前提としている着付け教室では、道具の購入が必要となります。

すでに自分の着付け小物を持っている方にとっては余計な出費となってしまいますので、市販の着付け小物の使用が可能かどうか確認しておくとよいでしょう。

訪問着に錦帯
特殊な着付け小物の使用を強制しない

着付けを補助するための特殊な着付け小物は本当に必要? 着付けの方法には、昔ながらの伝統的な着方から、きもの学院が独自に開発した着付け小物を利用した着方まで、様々な着方があります。 したがって、どのよう ...

続きを見る

7.練習用の着物や帯を借りられるか

着物には結婚式などに着る留袖や訪問着などの礼装用の着物もあれば、小紋や紬などのお洒落用の着物もあります。

普段用に1枚は自分の着物を持っていても、全ての種類の着物を自分で用意するのは困難です。振袖や留袖などは練習用の着物を借りられる着付け教室を選ぶと経済的です。

肌着や足袋、長襦袢など、全てをレンタル可能な着付け教室もありますが、衛生面の観点からは、肌に直接触れるものについては自分のものを用意したほうがよいでしょう。

8.グループレッスンか個別指導か

着付け教室のレッスン形式については、グループレッスンと個別指導の2通りの教え方があります。

個別指導の着付け教室を選んだ場合、グループレッスンの教室よりも受講料は割高となりますが、自分の理解度や技術レベルに応じて指導が受けられ、分からないところもきちんと質問したり復習したりしながら進められることができます。

色留袖
グループレッスンと個別指導のどちらの着付け教室を選ぶ?

分からないことが聞けないまま、授業がどんどん進んでしまう不安 グループレッスンと個別指導の着付け教室には、どちらにもメリットがあります。 グループレッスンの場合は月謝が無料やワンコイン(1回500円) ...

続きを見る

9.授業の振り替えができるか

突然の用事や仕事の予定などで毎週決まった時間に着付け教室に通うことが難しくなる場合があります。

振り替えが可能な着付け教室なら、忙しい方や決まった日時に休みが取れない方も継続して通うことが可能です。

10.授業の見学や体験ができるか

着付け教室を選ぶにあたってはネット上の口コミや評判も判断材料になりますが、最も教室の雰囲気が知ることができるのは自分の目で確認する方法です。

授業の見学や体験が可能な着付け教室なら、入学の前に講師の人柄や相性なども確認することができます。

しかし、体験授業については実際の授業と雰囲気や講師が異なる場合もありますので、普段の授業を見学させてもらえる着付け教室のほうが、実際の雰囲気はよくわかります。

「着付け教室の選び方10のポイント」を利用して着付け教室のホームページをチェックし、興味のある着付け教室についてはメール等で見学をお願いしてみるとよいでしょう。

着付け教室の選び方を解説した書籍

着付け教室の選び方については、ノンフィクション作家、片野ゆか氏の書籍『着物の国のはてな』にも詳しく紹介されています。

『着物の国のはてな』集英社 (2020/9/25)

着物の国のはてな

堅苦しくて、面倒そうで、複雑怪奇なルールに満ちた「着物の国」。着物を着ると、なぜ老けて見える?無料の着付け教室はどこで利益を得ているの?着物警察を撃退する方法とは?いつ誰が、着物の“格”を決めたのか?仲居さんに間違われない着付けテクとは?自分で着るのがエライのか?着物初心者のノンフィクション作家が、着物をとりまくモヤモヤを解き明かす。

片野/ゆか
1966年東京都生まれ。大学卒業後、求人広告誌の営業職を経て、文筆業に。2005年『愛犬王 平岩米吉伝』で第12回小学館ノンフィクション大賞受賞。著書多数

amazon.co.jpより引用

着物初心者の視点で書かれており、着付け教室について書かれた文章は教室を選ぶ上で役立つ内容となっています。

「行ってもいい着付け教室の条件」で紹介された着付け教室一覧

『着物の国のはてな』第4章では著者自身の経験や調査等による「行ってもいい着付け教室の条件」がまとめられており、以下の着付け教室が紹介されています。

地域密着型のカルチャースクール
小規模経営の教室
個人運営の教室

ちなみに「きものカルチャー研究所」は、入会金3,300円、月謝7,700円(都市部8,800円)、授業は月4回・4ヶ月、修了試験無料(合格率90%)となっている。地方と都市部で月謝が違うのは、家賃に反映したものと容易に創造できて明朗会計な印象だ。授業は初等科の場合、マンツーマンから2名程度の個別指導だという。

こうした着付け教室は、業界全体ではめずらしいのかもしれないが、探してみれば地域密着型のカルチャースクールの着付けコース、小規模経営の教室、個人運営の教室もあるはずだ。ただそうしたところは派手な広告をうたないだけに、リサーチにはそれなりの時間をかける必要がある。

片野ゆか『着物の国のはてな』集英社 より引用

まとめ

不要なトラブルを回避し、安心して楽しく着付け教室に通うための方法を以下にまとめます。

1.「着付け教室の選び方10のポイント」を利用して着付け教室のホームページをチェック
2.片野ゆか『着物の国のはてな』(集英社)で紹介された着付け教室も候補として検討
3.気になる教室が見つかったら、着付け教室へ見学の問い合わせ

着付け教室に入学する際の手順として、ぜひご利用ください。

-着付け教室探しのコツ

Copyright© 着付け教室ナビ , 2024 All Rights Reserved.