なぜワンコイン(500円)で着付け教室に通えるのか?
近年、無料の着付け教室の代わりにワンコイン(500円)の着付け教室の数が増えています。
1回500円という低価格は消費者にとって魅力的ですが、この低価格の教室にデメリットはないのでしょうか?
教室の場所代(家賃)や講師の人件費は誰が負担する?
着付け教室の運営には場所代や講師の人件費、集客のための広告宣伝費などの経費がかかりますが、その経費を1回500円の授業料で回収することは困難です。
ボランティアや慈善事業なら可能かもしれませんが、営利企業にとっては極めて難しいと言えるでしょう。
無料の着付け教室の場合はメーカーや問屋の協賛金という事例も
着付け教室での押し売りがなくならない理由
ホームページやチラシに「押し売りはしない」と書いてあれば安心!? 着付け教室での押し売りは国民生活センターにも多くの相談が寄せられているトラブル事例です。 セミナー(販売会)で執拗な勧誘を受ける 以下 ...
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これは無料の着付け教室の押し売り問題について解説した記事ですが、基本的に赤字のサービスを提供する場合、その赤字を他で回収しなければならないという点においては、無料の着付け教室もワンコインの着付け教室も同じ課題があります。
ワンコインの着付け教室が赤字にならないためにはどうするか?
着付け教室の運営費を運営会社が負担する場合でも、着物のメーカーや問屋が負担する場合でも、その負担は必ずどこかで回収するのがビジネスです。
赤字で無理をした分、赤字を補うために販売の圧力が高まる
ワンコインで着付け教室を運営しているだけでは赤字の状態だとすれば、その赤字を補うためには販売目標や最低限の売上(ノルマ)が必要になります。
つまり「販売しなければならない」という売り手の都合が、場合によっては、消費者の都合よりも優先されてしまう状況が生まれやすくなるのです。
押し売りが起こる原因は悪意の問題ではなく、構造的な問題
販売員が悪質だから押し売りが起こるのではなく、教室の経費を必ず販売で回収しなければならないというのが、ワンコイン着付け教室のビジネス的な構造であり、そこに「押し売り」が生まれやすい環境が作られる要因があるのかもしれません。
販売会や展示会への参加は必須の場合も
ワンコインの着付け教室自体が悪いわけではなく、押し売りがあると断定するわけでもありませんが、500円という低価格で着付け教室を運営している以上、売らなければならないという事情が存在する(販売会や展示会への参加が必須の場合も)ということを理解しておくことは重要です。
買いたくないときに、はっきりと断れますか?
仮に販売会や展示会で着物や帯を勧められても、買いたくないときにははっきりと断れる方にとっては問題ありませんし、500円で着付け教室に通えるのならお得かもしれません。
しかし、500円で着付けを教えてもらったのなら、買ってあげようと思うのもまた人情であり、教えてくれた講師の気持ちを考えると、その場で冷静な判断をするのは難しいかもしれません。
また、全く買う気のない生徒に500円で着付けを教える講師もまた人間ですから、買ってくれる生徒と待遇や態度に差がつくことも考えられます。