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トラブル解説

着付け教室での押し売りがなくならない理由

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ホームページやチラシに「押し売りはしない」と書いてあれば安心!?

着付け教室での押し売りは国民生活センターにも多くの相談が寄せられているトラブル事例です。

セミナー(販売会)で執拗な勧誘を受ける

以下の相談事例では、無料着付け教室のセミナーを必ず受講するようにと言われ、販売会場で店員に囲まれて押し売りをされています。

Xの「無料着付け教室」という広告を見て、当該教室の申込みをした。「1回目は帯のセミナーなので、指定した日時に必ず受講してください。もし都合の悪い方は他の日に振り替えますので、必ず受講するようにしてください。」と言われた。

セミナー当日の会場は、普段は業者が着物や帯を購入するという、事業者専用の販売場所であった。普段は一般の顧客は出入りできない場所だが、セミナー受講者だけ特別に入れると言われた。会場に入ると、たくさんの帯や着物が展示してあり、「好きな帯を選んで、膝の上に乗せてください。」と指示され、「デパートで購入すると何百万もするが、ここでは数十万円で買える。」と突然購入を勧めるようなことを言われた。セミナー中だったので、勝手に会場から出ていくこともできず、「クレジットにすれば、月8千円で大丈夫。」「旦那さんに内緒にすればいい。」「パートで少し働けばいい。」等と執拗な勧誘を受けた。

引用元:無料着付け教室に参加していたら、着物や帯を強引に売りつけられた(特定商取引法ガイド)

無料とうたって結局何かを買わせる「無料商法」

このように、無料とうたって結局何かを買わせる商法は「無料商法」と呼ばれており、エステや化粧品、浄水器や掃除機などでも問題になっている販売手法です。

無料であること自体に違法性はありませんが、「無料」という言葉で巧みに勧誘し、高額な商品やサービスを売り付けられることがあり、問題となっています。

着付け教室で押し売りが起こってしまう「からくり」とは?

なぜ着付け教室が無料なのか?

通常、着付け教室を開催するためには、場所代(家賃)、講師の人件費、集客のための広告宣伝費などの経費がかかります。

では、その費用を負担しているのはいったい誰なのでしょうか?

メーカーや卸問屋が着付け教室にかかる経費を負担している

国民生活センターの相談事例では、「無料で受講できるのは全国の織物組合や企業の後援・協賛金で運営しているため」とあります。

それでは、なぜ織物組合やメーカー、卸問屋などがお金を出しているのでしょうか?

それは、無料でたくさんの生徒を集めてもらい、その生徒に着物や帯を販売するためです。

「負担した経費を回収しなければならない」というビジネスモデル

着付け教室を開催する経費を負担したメーカーや問屋は、その費用を回収しなければ赤字になってしまいます。

しかし、企業としては赤字は極力避けなければなりません。

その費用を回収するために、経費を負担したメーカーや問屋には販売目標があり、赤字を避けるために最低限必要な売上(=ノルマ)が存在します。

販売目標やノルマが販売員の押し売りへとつながっていく

つまり、赤字を避けるために「なんとしても売らなければならない」という圧力が販売員にはかかり、それが行き過ぎたときに「押し売り」へと発展してしまうのです。

押し売りが起こりやすいのは避けがたい構造的な問題

販売員は決して悪質なことをしたいわけではないと思いますが、負担した経費を回収しなければならないというプレッシャーが結果的に押し売りを招くというところに構造的な問題があると考えています。

「売り込みはしない」という事前の説明が守られなかった理由

上記の事例はもちろん、どんな着付け教室も最初は「押し売りはありません」と説明すると思います。

しかし、着付け教室にかかる経費をメーカーや問屋が負担している以上、売り手は赤字を避けるためにはなんとしても売らなければなりません。

ホームページやチラシに「押し売りはしない」という言葉があったとしても、着付け教室の先生が優しそうであったとしても、無料で着付け教室に通うためには、裏側にこのような仕組みがあるということを消費者は理解しておかなければなりません。

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